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【専門家速報】令和7年4月施行 学校法人会計基準の改正と「特例」制度の再確認

はじめに

2025年4月1日から、学校法人会計基準の改正が施行されました。本改正は、従来「補助金の適正配分」を目的として整備されてきた制度を見直し、「ガバナンス強化」「情報開示の充実」に重きを置く内容となっています。

特に、知事所轄の私立幼稚園等の小規模な学校法人においても、会計処理や財務書類の作成に関して改正の影響が及ぶため、注意が必要です。

「特例」制度の概要

知事所轄学校法人のうち、高等学校を設置していない法人や単一校設置の法人に対しては、引き続き会計処理や書類作成に関する以下のような「特例」が認められています。

  • 活動区分資金収支計算書の作成省略
  • 基本金明細表の作成省略
  • 徴収不能引当金の計上省略
  • 第4号基本金の一部または全部の組入れ省略
  • 勘定科目の統合表示(所轄庁の判断により、教育研究用と管理用の統合など)

改正のポイントと実務への影響

  • 財務報告の枠組みとして、適正表示準拠性の枠組みが明確に区別されるようになりました。
  • 監査報告書についても、日本公認会計士協会の実務指針(第44号)により文例が整理され、特例適用の有無や財務報告の枠組みに応じた報告が必要です。
  • 特に「その他の記載内容」として、財産目録や収支内訳表等の通読・整合性確認が求められます。

会計監査人を設置している場合の留意点

今回の改正では、会計監査人を設置している知事所轄学校法人については、これらの「特例」の適用対象外とされる旨が明記されました(学校法人会計基準第5章等)。

任意設置であっても、制度上は大臣所轄法人と同様の財務書類作成が求められる場合があり、実務的には監査手続や書類整備の負担が大きくなることが想定されます。

専門家への相談の重要性

今回の制度改正は、単なる書類様式の変更にとどまらず、会計・監査・開示制度の根幹にかかわる構造的な見直しです。

そのため、学校法人としては、日頃の税務を担当する税理士のみならず、監査業務に精通した公認会計士、または監査人と連携し、制度趣旨を踏まえた文書整備・体制整備を行うことが重要です。

とりわけ、助成金受給に関する監査(私立学校振興助成法14条)と、私立学校法に基づく制度監査とを混同しないよう、正確な区別と方針決定が求められます。

まとめ

  • 学校法人会計基準の改正は令和7年4月から施行済です。
  • 知事所轄学校法人の特例は基本的に維持されますが、会計監査人を設置する場合は非適用となる可能性があります。
  • 報告書や注記の作成にあたっては、専門家の関与を前提とした対応が推奨されます。

詳細な制度の内容は、JICPA公式資料や文部科学省の説明資料をご参照ください。

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