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AIブームの本質は「AI」ではない。JX金属のストップ高から、中小企業が学ぶべき経営の「構造転換」

最近、ニュースやSNSで「AI」「生成AI」という言葉を聞かない日はありません。

本日2026年2月12日、東京株式市場でJX金属(5016)の株価がストップ高を記録しました。きっかけは業績予想の大幅な上方修正。連結純利益の予想を790億円から930億円へ引き上げ、市場から熱烈な評価を受けたのです。

しかし、会計士・税理士の視点からこのニュースを読み解くと、重要なのは「AI関連企業だから伸びた」という単純な話ではないことが見えてきます。

評価されたのは「AI」ではなく「構造転換」

JX金属は、もともと銅などの非鉄金属を扱う老舗企業です。しかし、彼らがここ数年で断行したのは、「低採算の伝統事業から、AI向け高付加価値材料への軸足の移動」でした。

注目すべきは、単なる増収ではなく「中身」の変化です。

  • 利益構造の劇的変化:営業利益率が 10% → 25% へと改善
  • 迅速な投資:AIサーバーに不可欠な光通信材料(インジウムリン基板など)の増産を素早く決断
  • 資源の集中:低収益な分野を縮小し、成長分野へ人・物・金を全振り

市場が喝采を送ったのは、AIという流行に乗ったことではなく、「利益が出る構造へ作り替えたこと」に対してなのです。


中小企業に置き換えるとどうなるか?

これは大企業だけの話ではありません。むしろ、意思決定のスピードが速い中小企業こそ、この「変わり身の早さ」を武器にできます。

具体的には、以下のような決断です。

  1. 「やめる」決断:値下げ競争が激しい商品、粗利の低い顧客層を見直す。
  2. 「絞る」決断:単価を上げられる独自のサービス、自社の強みが活きる分野に集中する。
  3. 「置き換える」決断:IT化やAI活用で、属人的な人手依存を減らす。

JX金属が証明したのは、「需要が伸びたから儲かった」のではなく「高付加価値へ舵を切ったから評価された」という事実です。


「変わり身の早さ」=「捨てる勇気」

「変わり身」とは、決して流行に飛びつくことではありません。 「何をやめ、どこに集中し、いつ決断するか」。リソースが限られている中小企業こそ、この問いから逃げないことが重要です。

  • 利益率の低い仕事を「慣習だから」と続けていないか?
  • 価格でしか選ばれないサービスに固執していないか?
  • 将来性の薄い売上に依存し続けていないか?

今すぐできる、経営改善の第一歩

大きな投資は必要ありません。まずは「数字」の捉え方を変えることから始めましょう。

  • 売上ではなく「粗利」を追う
  • 顧客別・商品別の利益率を可視化する
  • 「やめたら困る売上」と「実はやめてもよい売上」を分ける

AIを導入するかどうかを悩む前に、自社の「利益構造」を見直してみてください。そこに手を付けない限り、どんなブームも一時的な追い風で終わってしまいます。

結びに:AIはテーマ、利益は構造

JX金属の急騰劇は、構造を変えた企業への期待の現れです。 中小企業には「機動力」という最大の武器があります。完璧な計画を待つ必要はありません。

「小さく変えてみる。うまくいけば広げる。だめなら即、修正する。」

この繰り返しの先にしか、数年後の生き残りはありません。まずは今日一つ、「やめること」を決めてみてはいかがでしょうか。


執筆者プロフィール

なるみ会計事務所 公認会計士・税理士 鳴海良昭

慶應義塾大学経済学部卒。大手監査法人を経てなるみ会計事務所を開業。税務申告から会計コンサル(決算早期化・内部統制)、創業支援まで、「数字を経営の武器に変える」パートナーとして中小企業を支援している。


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